中国ものづくり仰天話(第1話 -2)
私は日本から来た出張者と同行しています。
出張者の日程も限られています。
今更どうしようもありません。
結局、ソニーの発注した成形メーカーとは全く異なる、
ソニー側としては何の審査もしていない、
得体のしれない成形メーカーと取引をすることになるわけです。
ソニーの審査とは次の3つです。
・財務的な審査
・環境的な審査
・技術、品質的な審査
この3つです。
財務的な審査は資材が、環境的な審査は品証、
技術、品質的な審査は品証と設計が行います。
一般的に1ヵ月以上はかかります。
これらの審査を受け、取引するに十分な実力を持っている、
と判断された上で、取引開始となるわけです。
今回の場合は、ソニーが最初に依頼した成形メーカーが
窓口になり部品を購入することになるので、
ルール的には取引可能です。
しかし、実務上は全くのNGです。
最初に依頼した成形メーカーは商社ではありませんが、
今回の場合は商社として機能することになります。
この、商社経由で部品を購入するということは、
中国では非常に危険な部品メーカーとの関わりです。
ご関心がお有りでしたら、私の研修やコンサルでも
ご紹介させて頂いています。
是非、ご参照ください。
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話が少しそれましたが、
ルール上は問題がないとなれば、
日程的にも、このまま進めるしかありません。
しかし、この得体のしれない成形メーカーでこのまま進める
ことによるリスクに関して話し合いをしているうちに、
大問題が有ることが分かりました。
今回の製品は医療用モデルです。
医療用モデルの樹脂成形の部品にはULのモルダーマーク
が必要であったのです。そしてそのモルダーマークには、
実際に成形している会社名の記載が必要なのでした。
つまり、ULで認証された成形メーカーが成形した、
品質的に問題のない部品であることを証明する、
プラスチック(樹脂)部品の裏側の彫刻が必要なのです。
部品上には凸の線で描いたマークとなります。
ULとは、世界的に製品や部品の安全性を試験・評価して認証を行う機関です。
アメリカ国内で製品を販売する場合は、この認証が必須になります。
この得体のしれない成形メーカーは、
もちろんULの認証を受けていません。
つまり、この成形メーカーの部品でソニーの製品は
組み立てられないということです。
困りました。
本当に困りました。
日程は限られています。
続きは次回にお伝えします。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
次回をお楽しみください。